始まりは他愛ないことから | 蛾衣の京劇衣箱

始まりは他愛ないことから

そもそも京劇に嵌ったきっかけは下らない理由だった。皆さんはご存知無いと思いますけどクラブメッドと言うリゾートホテルがありまして、そこではドレスコードなるものが存在します。つまり毎日テーマが決められてそこの従業員(GOジーオーと言う)はそのテーマに沿った服装をするのです。お客は自由なんですが慣れるとお客もテーマに沿った服装で一体感を楽しむと言う趣旨のホテルなんです。(世界中に点在します)私もそこへは偶に行くのですけど仮装パーティ(カーニバル)と言うドレスコードがあったんです。人ごみが嫌いな私はそう言うイベントのある日を外して行ってたんですけど3年前初めてカーニバルに参加したんです。でも突然だったんで平服のままでした。しかしホテルでは夕方から大勢のお客が思い思いの格好でパーティが始まりまして踊るアホウじゃ無いですが楽しそうな人々と素な私。非常に寂しい思いをしましたので絶対にリベンジする誓いました。(アホだ)
じっくりと構想を練って皆を驚かそうとかんがえましたねえ。まず素顔を知られるのは嫌、汚い仮装は嫌、皆と同じじゃ嫌、目立たないと嫌、と考えた挙句に思いついたのが京劇でした。あのメイクなら素顔は判らないだろう?と資料をネットで探しましたけどそれらしき物は何処にも売ってません。始めから大きな壁にぶつかり実際に本物の衣装を入手するまで半年も掛かりました。
初めて京劇に関わる映像を見たのが故レスリーチャン主演の覇王別姫でその綺麗な姿に魅了されて自分も虞姫になりたい!一心で八方手を尽くして衣装を手に入れてその着付けを習いに東京まで行ったりと苦労を重ねて構想から1年がかりで虞姫の姿でパーティに参加出来ました。
と、まあ普通ならここで終わる話なんですけど目立つことの興奮、注目されることの快感を一度味わってしまうともうイケマセン。しかし普通では絶対に無理な話で京劇のメイク、衣装が無ければ只の人です。それに2番煎じではプライドが許さないので次に向けて新しい衣装を発注してしまったのです。京劇の衣装とは実に多彩で一つの劇中で主人公が2度3度衣装を換えるのも普通なのでそんなことも知らない私は少しづつ京劇に曳かれて行きました。そして去年の2月に念願の北京に行き舞台を観たり劇照をし本場の空気を堪能して参りました。
少しづつ衣装も増え小物(簪、靴、剣等)も色々とあって眺めても楽しいのですが保管場所に苦慮しております。(苦笑)
まあ、踊れない唄えない美しくないの3拍子揃った劇迷(京劇ファン)ですが
こんな人間でも受け入れてくれる京劇界は懐の広い芸能です。貴方もご一緒に如何ですか?(笑)