劇照一家北京珍道中6 | 蛾衣の京劇衣箱

劇照一家北京珍道中6

それでは今回のメインイベント!宋小川先生を招いての劇照と晩餐会のお話だ。しかし、先生との約束は午後1時からなんで京劇迷の我々が時間を無駄にする訳も無く早朝から中国戯曲学院に向かった。狙いは学院内の売店。そこで京劇関係のVCD、CD、DVDや本をゲットすること。


好みの資料や良い本などは地道に足で探すしか無いのが現状。そうそうチャンスに恵まれるほど甘くないのがマニアの世界。次回に買おう!なんて思ったが最後、次に行けば売り切れているケースが多く後悔してばかりです。で、「見つけたら即購入!」が鉄則なんだな。(笑)


タクシーで学院の前に乗り付けた我々を見詰める警備員を無視して勝手知ったる場所とばかりに売店に向かう3人。(笑)店内に入ると主任のおばちゃんは居ない様子だ。ほぼ貸切状態で店内を物色とばかりに散る我々。お互い趣向が違うので奪い合いは無いのが救い。(苦笑)


今回欲しかったのはDVD。やはりVCDと違って画像も綺麗で音も良い。残念なのは演目の数が少ないことだ。中国ではまだVCDがお手軽な映像媒体なんだね。しかし、そこは私にとっては宝の山で何時間居ても飽きない桃源郷。お目当てのDVDを購入して今日の本命のため後ろ髪を引かれる気持ちで売店を後にした。


一端ホテルに戻り今日の為に持参した衣装を詰めたバッグを担いでいざ出陣じゃ(笑)

時間の節約のため地下鉄を利用しての移動だ。何せ今日は日曜日で北京中心街はお馴染みの交通渋滞でタクシーでの移動は困難と判断したのだ。初対面で遅刻する訳にもイカンからね。


予定通り地下鉄駅を出てタクシーを拾って本日の待ち合わせ場所、文化撮影城に到着。我々は逸る気持ちを抑えるように近くの食堂で昼食を取る。腹が減っては戦は出来ぬ!これは冗談でも無く空きっ腹で劇照すると目に力が無い写真が出来るのよ。(マジで)


腹を満たした我々はいざ鎌倉とばかりに撮影城の扉を開けるとお馴染みのカメラマン張さんとすれ違うが気が付かなかったのか無視されたとママがご立腹。しかし、杜さんは笑顔で迎えてくれた。良かった!気分を悪くしてないらしい。過去4度に渡り私のメイクをしてくれたので今回の件でどんな対応をされるか心配だったんだ。(汗)


さて、宋先生はまだ来て居ないようだ。ようだと言うのもパパもママも宋先生の顔を知らないのだ(笑)

ほどなく娘が「ほら!来たよ」との声に顔を上げるとがっちりした体格の良い男性が一人。その場に居合わせた中国人青年の顔が驚きに変る。宋先生も我々の顔を知らないのでその青年が依頼主?と言う変な雰囲気になった(苦笑)


しかし、直ぐに勘違いと気が付き我々と無事にご対面!ママが宋先生に私が本日のゲストと紹介してくれて一大イベントの幕が今開かれたのだ。見慣れた化粧室に案内されてまずは先制パンチと衣装を取り出す私に宋先生から強烈なカウンターを見舞われた。それがCDと本。これにゃ本当に参ったです。私の心は乙女の状態(爆笑)で興奮して劇照どころじゃなくなった。


プレゼントに感激している私にママが「早くしないと時間が無くなるよ」と活を入れてくれた。おおっ!そうだこんなことをやってる場合ではないぞ。衣装をカバンから出すと撮影城の衣装を押し退けてママが掛けてくれ汚れないように自分の上着で奥にある靴箱を隠してくれた。こんな気遣いが出来るママが大好きです。


見慣れない女性が居ると思ったら彼女はお客さんのようで化粧を始めた。???貸切じゃ無いの??まあ、小娘一人くらいどうってことは無いので先生にメイクを始めてもらうがどうもママの様子がおかしい?

小娘が気になるようだ。原因は直ぐに判明。小娘はこともあろうにママの十八番、覇王項羽のメイクを始めたではないか!こちらは虞姫のメイクから始めたのだ。流石は京劇の神様、粋な計らいだね。

宋先生1


どうにも我慢ならないママは敵情視察とばかりにカメラを娘に預けてスタジオに消えたが安心したのか「大したことは無い」と胸を張っておった。(笑)その気持ちは痛いほど判るよ。オイラも他の人が良い衣装を持ってると聞けばどんな衣装か見たくなるし自分と比べたくなるもんね。


その7へ続く