リンズのお話 | 蛾衣の京劇衣箱

リンズのお話

穆桂英2 早いものでもう7月ですか・・・・夏は苦手です。京劇には辛い季節だもん。(笑)

さて、先日東京で楊門女将を観て来ましてね、ロビーなどで一息入れてると他のお客さんの感想などが聞こえてくるんですわ。「綺麗だったよねえ、あの長い羽根が凄いよねえ」などの声が聞こえる。


多分「翎子」リンズのことを言ってるんだね。雉の尻尾に孔雀の羽根をあしらったもので京劇には欠かせない小物です。例えるなら昆虫の触角?かな(笑)海老でもバッタでもこれが無いと格好悪いです。(例えが変)京劇ではリンズを使い感情表現を行う場面が多いのです。蛾衣もリンズを使った扮装が好きで穆桂英なんか最高です。


北京の劇装街で売ってるのですが練習用の物で400元くらい(2本組)なんですが舞台で使うのは良い物で1500元くらいすかね。何処が違うか?長さと巾らしいですが素人のオイラには区別がつかない。安いリンズは死んだ雉から採取するそうですが高いのは生きた雉の尻尾を固定して業と驚かせて飛び立たせ抜くそうです。(本当か?)で、弾力のあり腰があるリンズだそうです。安いのは直ぐに折れるんだって。


でも高価であることには変わりなく何処の劇照店でもリンズは大事に扱われて保管されてました。お店によっては触らせて貰えないこともあった。ポーズによっては交差させて口で咥える場合もあるんです。(格好良い)


でね、どうやってリンズを固定するか?手で握るんじゃ無いんです。人差し指と中指を伸ばしてその間に挟むの。これが結構難しいんだ。油断すると直ぐに外れてリンズは後ろに跳ね上がるの。何せ薄い雉の尻尾だし二本の指で挟むだけってはキツイよ。意外と力が入らないのさ。直ぐにビヨ~ンと戻っちゃう。(苦笑)


でもね、これが決まると格好良いんですわ。自画自賛でしか無いんですがね。