後ろに目が無いので | 蛾衣の京劇衣箱

後ろに目が無いので

今日、紹介するのは冠の一種七星額子と言う物のお話。穆桂英など勇ましい女将軍の扮装には欠かせない頭飾りで大きなボンボリが並んで左右にリンズが揺れる格好良い代物。例えるなら女王様のティアラみたいで後ろは無い。でも、京劇の場合後頭部もちゃんと髷を作るので問題は無いのです。

穆桂英5


が、それは舞台の話で劇照の場合は後ろは写らないので殆どのお店では後頭部の飾りは作らない。確かに時間を掛けて後頭部を作っても写らないんじゃ意味は無いもんね。(苦笑)でもオイラはサホロで京劇の扮装をするので後頭部が無いと完璧な扮装とは言えないので去年は友人の助けを借りた。

扮装3 扮装2 扮装1

こんな感じで後頭部は出来ている。日本髪のカツラみたいに被るタイプじゃない。パズルみたいにパーツを組み合わせて作るのだ。だから実際、頭は何重にも紐で縛られており慣れないと頭痛や吐き気に襲われる。こんなんだから扮装を解く時は本当に生き返る気分を味わえる(笑)


で、このままじゃ独りで扮装するのは後ろに目が無い限り不可能だ。それで考えた結論は冠の様に後頭部を隠せるタイプに作れば良いじゃん!!と言うことで京劇の世界では有り得ない七星額子と胡蝶クイとの合体バージョンを発注。前は七星額子、後ろは胡蝶クイと言う変則タイプの物を考案したのさ。

変則七星額子後ろ 変則七星額子前


化粧師AYAKO  撮影MAORU  クラブメッドサホロ2005夏クローズ