蛾衣の京劇衣箱 -13ページ目
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簪(かんざし)について

今日は京劇の舞台で強い照明を浴びてキラキラと輝く簪のお話。
私は最近これに凝ってます。とても高価な物に見えますが石はガラス土台は銅で出来ています。本物の宝石であれば土台も銀やプラチナなどで石もルビー、ダイヤ等これだけの物を作れば数千万はするでしょうね。(笑)

画像は古装に使う簪ですが左は箱にセットで入っている物です。ちょっと高級な物(京劇のレベル)ですが右は北京の劇装店で見つけた地元の劇迷(京劇ファン)がオーダーした特注品です。通常は7尾の鳳凰(左)ですがこれは9尾で左右の羽根がバネで固定されて役者が歩くと羽根も動きキラキラと光を反射し舞台を更に幻想的にする演出効果があります。

京劇に嵌るまではジュエリーなどの飾りなどにはまったく興味が無かったのですが今では簪を色々と買い集めコレクションするまでに。
女形をやると気持ちまで女性化するのか綺麗な簪を眺めているだけで幸福な気分に浸れる自分にちょっと驚いてます。

劇照は楽し

今日のお題は劇照です。これは中国語なんですけど日本語に訳すと多分「コスプレ写真」となるのかな?つまり京劇メイクをして豪華絢爛な衣装を身に着けて一瞬でも京劇役者の雰囲気を味わえると言うもの。
国内ではチャイナスターさんが老舗、でも私は北京でしか劇照したことが無いんでここでお話するのは北京で劇照する時の話ですのでご注意を。
しかし、単なるコスプレと舐めてはイケマセン!軽い気持ちでやると偉いことになります。(ちょっとオーバーか?)
注意事項
     1、綺麗な洋服を着て行ってはいけない。
     2、体調が悪い時も駄目。
     3、固定概念は捨てる。
     4、緊張は表情を硬くするので笑顔を忘れずリラックス。
     
では解説しよう。
1、メイクはドウランを塗りますし場所によっては手首までたっぷりと塗りますので洋服に付いたら簡単には落ちないです。また、テカリを押さえるのに白粉を大量に使います。シャツは胸元の開くタイプがお勧めです。

2、京劇で大変なのは頭部を作る時です。まず羽二重に似たものでキツク頭を縛ります。2巻き目にこめかみを上に吊り上げまた縛る。ピエンズと言う髪の毛に似せた物を額、モミアゲに貼り付け顔の輪郭を整えピエンズがズレナイようにもう一巻き!更に水紗と言う黒い布を巻きつけ紐を隠します。楊貴妃などをやると冠を被りますがそれも落ちないようにしっかりと結びます。以上のように幾重にも紐で頭を縛るので頭痛、吐き気など気分が悪くなる人もいます。

3、自分は背が高い低い痩せてる、太ってる、男だから女だからこの扮装は駄目、似合わない、衣装が着れない!と勝手に思っては損をします。京劇の衣装は非常にアバウトなもので余程で無い限り着用可能です。女性は女役、男性は男役と言うこともありません。もともと京劇は男の世界で女性役は男がやってましたので何の問題もありません。逆に宝塚のように男性役をこよなく愛し男装する麗人も多数おられます。要は成り切った者の勝ちと言うことですね。

4、カメラは正直で結構その時の気持ちをしっかりと表情に捉えます。緊張しすぎると笑みが失われ折角の写真が台無しです。劇照自体を楽しいと思えると自然に笑顔がこぼれてしまいます。しかし慣れないポーズを取らせれたりして身体が悲鳴を上げている状況では無理な話かも?

しかし、そこは向こうもプロですからそれなりに写してくれます。画像の私ですが今年47歳のオッサンで身長173センチ体重70kgで京劇の基本動作もまったく出来ませんけどこんな感じになります。
どうです?ハリウッドも真っ青って感じですね(笑)

初めての衣装

最初に作った衣装は勿論「覇王別姫」の虞姫でした。当初は中古があるとの情報だったのですが話をしている内にどうせなら新しい物に、作るなら良い物に折角だから「梅蘭芳」のレプリカにと話が進みました。製作は本場北京で舞台用の衣装を専門のお店がオーダーで作ることになりました。この辺から只の仮装と一線を越えたような気がします。(笑)
やがて衣装が完成したとの連絡が入りましたが「で、どうします?」「は?」「素人が着れるもんじゃ無いですよ」うーむ、落ち着いて考えれば当然の話なんですけど当時は簡単に考えてました。京劇を知らな過ぎでした。(恥)
で、東京に行って着付けとメイクを習うことに。記録用にビデオを借りてデジカメ持って出掛けました。詳しい方法は京劇関係のHPに載ってるのですけどあれは化粧師さんがやってくれます。プロなら自分でやるそうですが私は一人でやらなければならないのでそりゃあ真剣に覚えましたよ。でもそんな甘いもんじゃ無いでしたけどね(涙)着付けも洋服と違い和服のように重ねては紐で縛るの繰り返しで自分一人でしなければと思うとマジで泣きたくなりました。
初めて本格的に京劇メイクをした自分を見て感動しましたねえ。(笑)「これがワタシ?う、美しいわ!」ホテルの1室でメイクしてもらったのですけど己を見失った私はこの姿で廊下に出ようとしてチャンさんに引き止められました。(爆笑)
誰かに見せたかったんだよう!!ゴメンナサイ。。

まあ、これが京劇に首まで嵌る始まりだったんですけど最初に良い衣装を手にしてラッキーでした。本当に運が良かったと思ってます。京劇を愛する方は皆さん親切で趣味の世界に良く居る嫌な人に逢ったことがありません。
これからも大勢の方に引っ付いて小判鮫のように京劇界を泳いでいきますが頑張って中国語でも覚えなくては!と思うのですが、、、(駄目人間)

始まりは他愛ないことから

そもそも京劇に嵌ったきっかけは下らない理由だった。皆さんはご存知無いと思いますけどクラブメッドと言うリゾートホテルがありまして、そこではドレスコードなるものが存在します。つまり毎日テーマが決められてそこの従業員(GOジーオーと言う)はそのテーマに沿った服装をするのです。お客は自由なんですが慣れるとお客もテーマに沿った服装で一体感を楽しむと言う趣旨のホテルなんです。(世界中に点在します)私もそこへは偶に行くのですけど仮装パーティ(カーニバル)と言うドレスコードがあったんです。人ごみが嫌いな私はそう言うイベントのある日を外して行ってたんですけど3年前初めてカーニバルに参加したんです。でも突然だったんで平服のままでした。しかしホテルでは夕方から大勢のお客が思い思いの格好でパーティが始まりまして踊るアホウじゃ無いですが楽しそうな人々と素な私。非常に寂しい思いをしましたので絶対にリベンジする誓いました。(アホだ)
じっくりと構想を練って皆を驚かそうとかんがえましたねえ。まず素顔を知られるのは嫌、汚い仮装は嫌、皆と同じじゃ嫌、目立たないと嫌、と考えた挙句に思いついたのが京劇でした。あのメイクなら素顔は判らないだろう?と資料をネットで探しましたけどそれらしき物は何処にも売ってません。始めから大きな壁にぶつかり実際に本物の衣装を入手するまで半年も掛かりました。
初めて京劇に関わる映像を見たのが故レスリーチャン主演の覇王別姫でその綺麗な姿に魅了されて自分も虞姫になりたい!一心で八方手を尽くして衣装を手に入れてその着付けを習いに東京まで行ったりと苦労を重ねて構想から1年がかりで虞姫の姿でパーティに参加出来ました。
と、まあ普通ならここで終わる話なんですけど目立つことの興奮、注目されることの快感を一度味わってしまうともうイケマセン。しかし普通では絶対に無理な話で京劇のメイク、衣装が無ければ只の人です。それに2番煎じではプライドが許さないので次に向けて新しい衣装を発注してしまったのです。京劇の衣装とは実に多彩で一つの劇中で主人公が2度3度衣装を換えるのも普通なのでそんなことも知らない私は少しづつ京劇に曳かれて行きました。そして去年の2月に念願の北京に行き舞台を観たり劇照をし本場の空気を堪能して参りました。
少しづつ衣装も増え小物(簪、靴、剣等)も色々とあって眺めても楽しいのですが保管場所に苦慮しております。(苦笑)
まあ、踊れない唄えない美しくないの3拍子揃った劇迷(京劇ファン)ですが
こんな人間でも受け入れてくれる京劇界は懐の広い芸能です。貴方もご一緒に如何ですか?(笑)

緊張しますね。

生まれて初めてこんなことをすると言うので非常に緊張して書き込んでおります。
親しい友人から早くHPを作れと言われてたんですがスキルが無くて躊躇してたんですけど(言い訳)実際のところ勇気が無かったのかもしれません。
今日からは自分に出来る範疇で楽しみながらこれを育てて行こうと思います。
京劇の中でも狭い分野の衣装に焦点を当てて自分の知っていることや思うこと、これからの予定など衣装だけに留まらず京劇全般で書いて行こうと思います。

この衣装は四郎探母と言う劇中で鉄鏡公主(姫)が着ている衣装で元は清朝満族皇后所用的吉服と本にはかいてありますね。(中文が判らず意味不明)一説にはチャイナドレスの原型とも聞いています。
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