蛾衣の京劇衣箱
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やっぱり北京だ。その1

8度目の北京から戻って1週間。ブログもさっぱり手を付けず放置状態で反省せねば。

はい、今回も北京はオラを優しく迎えてくれました。天候も良く暖かい日。2日ほど前には濃霧が発生し空港が麻痺したそうだがスケジュールどおり到着。そして無事にお馴染み「新北緯飯店」に帰って参りました。(笑)


さっさと受付を済ませてお部屋に入り荷物を整理。お土産と衣装を出す。そうそう、ローレライに到着の連絡を・・・・電話番号を書いた手帳を忘れた!!!色々探すが無い。まあ、明日逢えるけど何時に待ち合わせも言って無かったからなあ・・・暫しボー然とするも何とかなるさ!と寝る準備。あ!!目覚まし時計を忘れた!拙い、マズイよ。例によって部屋の時計は壊れてる(苦笑)

オイラ腕時計をしない主義なんで頼みの綱はTVだけ。文明と離れた生活のツケだわな(涙)


早朝TVのスィッチを入れて時間を確認しながら2度寝、3度寝。何度寝か忘れた頃(苦笑)8時過ぎに朝食。部屋に戻ってローレライから連絡を待つ。(他力本願)心境は就職合否の電話を待つ親?願いは叶って9時にローレライより電話があり11時にロビーで待ち合わせ。良かった~。持つべきものは親友ですな。


今日の予定は衣装の受け取りとその衣装での劇照。今回の衣装は従来の京劇衣装では無い。「牡丹亭アメリカ公演」で主演女優が着ていた日本の打ち掛けのような衣装。袖、胸、背中と一面に龍の刺繍が施されている。それと京劇の決まりでは龍は皇帝の文様。まあ、牡丹亭自体昆劇なんでオラも良く判らんが変った衣装ではある。


で、11時ローレライと偽ママに無事に再会、「久春」で衣装を受け取りお店のおばちゃんと再会を喜ぶ。お互い満面の笑顔。大好きだった劇装街は道路の拡張で半分以上廃墟と化して「久春」も移転した。前より少し広くなった店内でゆっくりする時間も無く後ろ髪を引かれながら劇照に向かう。その前に腹ごしらえせねば。腹が減っては戦は出来ぬ。劇照も同じで空きっ腹では良い写真は撮れませぬ(笑)


劇照店の近くのファーストフード店でぶっかけ飯8元(安い)を食しイザ撮影に。オラとお店のガチンコ勝負だ。鞄から衣装を取り出し見せるとローレライ、マスター、ママさん三つ巴で論争。つまり初めての衣装で綺麗に写すデーターが無い、この衣装で綺麗に撮れるポーズが不明と難色を示しているのだ。ある意味プロの意見だ。適当に誤魔化すならば適当に撮ればよい。しかしマスターは素直に現状では良い写真が撮れないとギブアップしたのだ。実に潔い決断だ。


資料にと持参したDVDもお店の機械が不調で役に立たずこれは今回は中止だな・・・と壁の劇照写真を眺めていたらローレライが「折角だから普段やらない劇照をすれば?」と一枚の参考写真を指差した。地味な衣装で作る気はなかったものだが姿形は結構気にしてたもの。役柄や劇の題名は知らないが「貧乏妻」とみんな呼んでいる。(笑)だから地味。何でも夫の帰りを15年も待っている健気な役どころらしい。背景も穴倉が書いてあるし。これこそ絵に書いたような貧乏(爆)

今年1年を振り返り

上海上陸も無事果たし帰国いたしました。

色々と楽しい旅で収穫もそれなり?で、また行かねばならんと胸に誓った蛾衣でした。

旅の顛末は近いうちに書くとして今日は今年1年を振り返り評価反省などを(笑)


京劇については休暇の関係で北京に一度しか行けず不満が残る年だったね。劇装店ではオイラの衣装が待ってるのに取りに行けない。(涙)送れば?と思うだろうが向こうで受け取りその衣装を持って劇照するのが好き。再度持参するのも大変なんだ。


新しい衣装が出来上がりそれは量が多いので送ってもらった。だって運べない数だから(笑)お気に入りで劇照するのが楽しみだけど来年行けるかは不明だ。1年近く北京に行かないと禁断症状?が出るよ。特にここ数年の変化は目まぐるしく半年で町並みが様変わりしたりお店が消えたり出来たりと戸惑いを覚える。


我が身を省みれば春に水疱瘡に掛かり先日はノロウィスル?に掛ったりと体の変調をきたすことが多い年だった。まあ、来年49歳の中年親爺なので仕方が無いと言えばそれまで(苦笑)何故か大事の前に病に襲われ水疱瘡の時は東京で京劇を観る1週間前に完治、今回の上海上陸作戦も何とか1週間前に復活と言う綱渡りなタイミング(笑)


何れも京劇の神様のご加護か?無事に乗り切れたのは幸いでしたが来年は体調管理もしっかりやらねば(汗)


行くぞ上海!

皆様、ご無沙汰しておりました。

此処のところブログを更新するような京劇の活動も出来ず悶々とした日々を過ごしておりましたが恩師「十河さま」より上海上陸作戦再開の打診があり一に二も無く飛びついた次第。(笑)


一般的に中国旅行と言えば香港、上海などの観光都市だがオラは何故か?北京ばかり7度。それは其処に京劇があるから。

しかし、上海にも京劇がある。我が国でも同じ芸能が地域によって呼び名が変るように(上方落語や大阪漫才)中国では北京の京劇京派、上海の京劇海派と呼ぶそうな。そしてご他聞に漏れずファンは言い争う(苦笑)「古典的な京派」「新し好きな海派」

「伝統を守る京派」「時代に合った海派」など外野は喧々諤々。


まあ、オラは正直どっちも好き(爆)理由は簡単で深く意味が判らんから衣装が綺麗ならOK!(アホ)しかし、上海には行ったことが無いので比較対象できんかった。ので今回の上海上陸を非常に楽しみにしてる。多少は慣れた北京と違って上海の空港も税関もホテルも劇場も全部初めてだからドキドキしちゃう。(田舎者)


でね、今回の作戦は2日目がメインで今年6月にお世話になった京劇俳優「厳慶谷先生」を尋ねて上海京劇院にお邪魔して色々と画策しちょる。(笑)勿論、劇照は欠かせない行事だが今回はなんとあの有名女優「史敏さん」の衣装を借りて「昭君出塞」の主役「王昭君」の劇照を行うんよ。自分的には王昭君=史敏さんと言うくらい凄い役者さんで日本でもファンが多い。(美人で素敵)


例えるなら裕次郎記念館の展示品の服を借りて小樽港の岸壁でマドロスパイプを咥え「汽笛が俺を呼んでるぜ!」とか呟きながら舫に片足を掛けてカメラマンに写して貰うようなもんです(変か?古い?)裕次郎ファンなら一度は憧れるシュチエーションだ。


他には厳さんの案内で劇装店訪問や上海京劇院の衣装見学、そして晩餐会など23日はお楽しみが目白押し。22日は観光?とお買い物。24日は観劇とお買い物かな?慣れた北京と勝手が違うのであまり一杯は詰め込まないで余裕のある旅になりそうだ。北京は毎回駆け足だからね。(笑)まあ、どっちもやりたい事が多すぎるのが難点だけどそれは贅沢な話さ。


さて、来週の今頃は上海で夢のような体験をしてることでしょう。無事に帰ってこれるかな?

ご無沙汰してしまいました。

色々あって旅行もままならぬ立場。当然、北京は遥か遠く衣装の受け取りにも行けない。まあ、時期的に旅行代金もそれなりなので冬にならんと行かないけど今年は無理だな。連休が貰えない以上は国外には行けません。


去年の今頃は毎週京劇関係のイベントがあって忙しかったのが今年は嘘のように何も無い。東京に行くことも無いし公演もない。

身辺に京劇の話題も無いのでブログに載せる記事も無い。新しい衣装をお披露目出来る場所も無いしとナイナイ尽くしで本当に変化の無い日々が続く。


しかし、折角作ったブログ、たいした事も書いてないのに訪れてくれる方が居るのは嬉しいことです。偽家族の娘もママも個別に中国に行っているのを尻目に見ながらひたすら耐えるのみ。(苦笑)することと言えば新聞の為替欄の人民元の変動に心を痛めてあの安い時期にもっと衣装を作っておくのだった!と後悔する日々。


今日の衣装は名前も演目もまったく判らないのですが劉店主さまのお店で若社長に見せてもらった1枚の写真に心を奪われ作った1枚。資料写真では役者さんは黒の厚底だったのですがそこはオーダー、どうにでも出来る(笑)「靴も刺繍をいれましょう」若社長もオイラの好み(派手好き)を理解してるぜ!


それで出来上がった衣装がこれ!孔雀心とは一味違ったリアルな刺繍が見事です。しかし、問題がある。役柄も名前もこれを着る演目も判らんので着たくても着られないのだ。被り物もあるのだがどうすりゃ良いのか判らん。ご存知の方がおられたらご教授願えれば幸いです。


不明靴 不明3 不明アップ 不明1

こんな工程で出来るのです。

劇照同盟の仲間や劇迷なら知っている京劇メイクの工程ですが結構知られてないのが髪形を作る工程。

前髪の形は役柄によって違い頭に載せる冠や髪飾りで作り方が違うのです。

今日は基本的な片子(ピエンズ)をお見せしますね。まあ、モデルがオッサンなのはご勘弁を(笑)


メイクは素顔を曝したくないので飛ばします(苦笑)で、羽二重に似た物で頭を縛りその紐を利用して左右の目を吊り上げます。

この段階でスイッチが入って女形に変化するんですよ。

メイク1

で、次は8の字に形を作った片子を額の中心から一枚づつ7枚貼り付けます。これは楡の樹皮をぬるま湯に浸し粘り気が出して片子を漬けた物を上手に形を整え貼り付けますが微妙にバランス感覚を求められる作業です。

メイク2

微調整を繰り返し顔の形や大きさを考えて貼り付けて行くんですがこれで印象が決まると言っても過言では無いです。

メイク3

それで位置が決まると更に紐で縛ってずれないように固定します。勿論しっかり縛りますので結構キツイっす。

メイク4

前髪はこれで完成。で、仕上げに頬の左右に大片子を貼ると片子は完成ですがこの大片子。冬に劇照する時は曲者だ。理由は凄く冷たいのさ。(笑)それを頬に貼る時はゾクゾク!!って寒気が走るんだな。

メイク5

これからこの上に黒い水紗を巻いて行くのです。お見苦しい物をお見せしました。(汗)

後ろに目が無いので

今日、紹介するのは冠の一種七星額子と言う物のお話。穆桂英など勇ましい女将軍の扮装には欠かせない頭飾りで大きなボンボリが並んで左右にリンズが揺れる格好良い代物。例えるなら女王様のティアラみたいで後ろは無い。でも、京劇の場合後頭部もちゃんと髷を作るので問題は無いのです。

穆桂英5


が、それは舞台の話で劇照の場合は後ろは写らないので殆どのお店では後頭部の飾りは作らない。確かに時間を掛けて後頭部を作っても写らないんじゃ意味は無いもんね。(苦笑)でもオイラはサホロで京劇の扮装をするので後頭部が無いと完璧な扮装とは言えないので去年は友人の助けを借りた。

扮装3 扮装2 扮装1

こんな感じで後頭部は出来ている。日本髪のカツラみたいに被るタイプじゃない。パズルみたいにパーツを組み合わせて作るのだ。だから実際、頭は何重にも紐で縛られており慣れないと頭痛や吐き気に襲われる。こんなんだから扮装を解く時は本当に生き返る気分を味わえる(笑)


で、このままじゃ独りで扮装するのは後ろに目が無い限り不可能だ。それで考えた結論は冠の様に後頭部を隠せるタイプに作れば良いじゃん!!と言うことで京劇の世界では有り得ない七星額子と胡蝶クイとの合体バージョンを発注。前は七星額子、後ろは胡蝶クイと言う変則タイプの物を考案したのさ。

変則七星額子後ろ 変則七星額子前


化粧師AYAKO  撮影MAORU  クラブメッドサホロ2005夏クローズ

当たらないかなあ・・

懲りもせず毎度購入しているのが宝くじ。当たれば人生が変るのに。いや、当たらなくても人生変ったけど(苦笑)

三億円とは言わないから1億円でも結構です(笑)仕事を辞めて京劇三昧の日々をおくるのにねえ。

北京留学は必然ですな。出来る出来ないは置いておいて戯曲学院で基礎を学ぶ。勿論、語学も必修科目ですわい。


そしてその間に色々と衣装を作るのさ。今までのお任せじゃ無く細部に渡り自分の意見を取り入れた衣装作りを目指すのよ。

やっぱりしっかりチェックしないと自分の満足出来る衣装は出来ないもんね。その第一歩が語学。やっぱりコミュニケーションがしっかり取れないと重要なニュアンスが伝わらないもんね。


中国に関わらず日本でも物を作ると言う事は大変で自分で出来るなら問題ないけど他所に頼む場合は自分の意向を相手にしっかり伝えることが大事。それを1度だけじゃなく何度も確認して完成まで気を抜かない。そして出来た物をチェックして不具合があれば直すことが肝心だな。


でも、現状では全部人頼みなんで自分が変らないと状況も変らない。だから京劇の神様!オイラに3億円を当てて下さい。

ってまた他力本願ですなあ(苦笑)


今日の衣装は旧型女蟒で梅蘭芳が改良女蟒を作る前は殆どこの形でした。結構オーソドックスなデザインですけど私は好きですねえ。直線的なデザインでシャープな雰囲気が良い。本当はもう少し重厚な刺繍にしたかったのですがどうもしっかり伝わってなかったみたいでまた作り直したいなあ。

旧型4 旧型3 旧型1



孔雀の心とは?

この衣装も劇装図案集で見つけた1着。衣装の名前は孔雀心女蟒と書いてある。

唐草模様の中心で羽根を広げた一羽の孔雀。そこは白黒の世界だけど自分のイメージで色々な彩色をすると同じ図柄でも別な衣装に変る。


写真集などでそれを身に纏ったものでもあるとイメージが湧きここをこうする刺繍を変えるなどとアレンジが可能だが白黒ではそうはいかない。まずは生地の色。ある意味、これで出来不出来が決まると言っても過言ではないだろう。深い・・・深いです。


劉さんのお店に行くまで何色の孔雀心を作るか決めかねていた。主役はが基本の京劇。でも赤は結構持っている。白は難しい。で、悩んだ挙句選んだ色が黄色。本来は皇帝や皇后が着る色らしいですがそこは只の劇迷。(笑)ルールは無視して着たい色で作る。


それにしても衣装の名前が孔雀心・・・・うーん、どう言う意味なんだろうか?まあ、今回も予備知識がまったく無いまま作った衣装なんでどんな役柄のどんな劇中で着るかは不明(苦笑)でも綺麗に出来たからOKだ。本当の色は何色なんだろう?ま、良いか?(爆)

孔雀心2 孔雀心3 孔雀心4 孔雀アップ

こんなのも作りました。

2年前、北京の中国戯曲学院にある本屋さんで劇装図案なる本を手に入れた。内容は京劇衣装の刺繍図案や衣装の絵が沢山載っていた。しかし、白黒の線描画ではイメージがイマイチ湧かずオーダーまでには至らなかった。お金も無いし。


それから2年、私の希望のレプリカ衣装も大方収集が終わったのでチャンスとばかり図案集の衣装を作ろうと思い立った。が、問題はある。図案集は白黒の線描のみで色の指定など情報は皆無。役柄の説明も無ければ演目の解説も無い。


まったく素人の蛾衣には雲を掴むような話。でも欲しい、作りたい、と欲望はつのり本をコピーして北京に乗り込む馬鹿劇迷(笑)早速友人に通訳をお願いし劉さんのお店に突撃する。因みに7度北京に行っているが行く場所は劇装街、劇照店、京劇のVCDの店、飯屋、ホテルだけである(爆)観光なぞ無縁なのだ。だから紫禁城とか万里の長城の話を振るのは止めてくれ!行った事が無いから答えられないのだよ。


お店に行くと劉店主さまは不在で若社長が満面の笑みと光るおデコでお出迎え。(笑)品疎なオイラもここではVIP待遇だかんね。早速コピーを見せて商談開始!しかし、話が進まない。原因はオイラ。

作る衣装の事を何にも知らないんだから。服の色や刺繍の色など聞かれても答えられないのだ。若社長もこれには苦笑い。万事休す?と思いきや天の助けか京劇の神様の導きか?若社長が見せてくれた写真集の中に同じ衣装を着た役者の画像を発見!!「これ!これと同じのを作ってくれい!!」ここぞとばかりに吼える蛾衣!ホッとする若社長。後はトントン拍子で話が進んだのは言うまでも無い。


で、出来上がった衣装がこれ「万字錦地女蟒」で我が軍師チャン・チンホイ氏に「良い衣装ですね」と褒められた1着です。

万字錦4 万字錦3 万字錦2 万字錦1

PS、どんな劇でどんな役柄が着る衣装かは未だに不明(苦笑)

見てみてミテ~!!

去年の秋と12月と今年の3月、北京に行って衣装をオーダーした。

それがやっと昨日、届きました。いやー長かったなあ・・・日本ならこんな心配はしなくても良いのだが中国相手ではそう簡単にはいかん。

まず、言葉が通じない。現地でオーダーする時も通訳してくれる友人が居て口頭で伝える。ある意味信用取引だな(笑)

こっちの要望もイマイチはっきりしてない(苦笑)プリントした紙を見せて「これと同じ物を作って!色は赤で、ここの刺繍を大きくして」などとアバウトに伝えるの。だから余計に出来上がりが不安なんだ。(自業自得)


逆を言うと素人の浅はかな発想より経験を積んだベテランの感覚の方が良い物が出来るのも知ってる。

餅は餅屋と言うではないか。色を合わせるのも配色だって経験上の見栄えは大事よ。誤った色使いをするとイメージが全然違うものになっちゃう。


さて、今日紹介するのは鳳凰女蟒で京劇衣装の本を見て欲しかった1着です。が、現物は白地に黒と紺の刺繍で結構地味な雰囲気。理由を聞くと葬式の場面で着る衣装なんだとさ。でも、オイラは役者じゃ無いし舞台で着る訳でもないので、刺繍をカラーで入れてもらった。オーダーだから出来る暴挙だな(爆笑)

鳳凰5 鳳凰4 鳳凰3 鳳凰2 鳳凰1

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